ライバルの共闘

「次は当然オレ達のシングル対決ですよね?盛り上がりますもんね、ライバル対決。」

 

狭いヤマプロ事務所にて、葛西琢磨はファントム・ヤマプロに問いかける。

 

ファントム「いえ、今回も二人にはタッグを組んでもらいたいと考えています。」

 

葛西「えっ?何でですか!?前回は妙典が割り込んできて流れちゃったけど、元々はライバル対決やるはずでしたよね?」

 

ファントム「いや、それがですね……実はトルメンタ親子の対戦相手が用意出来てないのですよ。彼らとの契約はタッグで2試合だったので、今回試合組まないと違約金が発生してしまうんですよね……」

 

葛西「そんな数合わせみたいな試合、何か嫌なんですけど!」

 

ファントム「いやいや!彼らは腕の立つルチャドールですから。熱いタッグ戦になること間違いなしですって。」

 

葛西「俺はシングルの方が好きなんで、それぞれシングルマッチとかの方が盛り上がるんですけど。」

 

ファントム「それが、シニアはタッグに拘ってるようでしてね。ジュニアもなかなかやるんですが、シニアからするとまだまだらしく、シングルは任せたくないらしいです。」

 

行徳「オレはタッグでいい。彼が厳しいのか過保護なのかはオレには分からんが、オレは熱い戦いがそこにあるならそれで構わない。所属してるわけだから任せるよ。」

 

そう言うと行徳は事務所を出ていってしまった。

 

葛西「……行っちまった。まあ俺達はライバルであり、戦友でもあるからな。俺もそれで構わないさ。じゃあ俺も行くわ。」

 

事務所を去る葛西の背中を見ながら、ファントムは考え事を始めていた。行徳は一時期試合が出来ない状況があったからか、戦う機会があれば、どんなん戦いも殆ど断ることはない。それ自体は悪いことではないが、戦いへの意欲、姿勢を強く見せないようにもなったような気がしていた。何か戦いへの貪欲な姿があれば魅力が増すのに……。

 

ファントムはおもむろに携帯電話を手に取った。

 

 

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