ひばりの苛立ちは、囀りと言うには些かけたたましくあった。
「師匠、これはどういうことなんでしょう?」
雑誌の記事を突きつけられても、ラビット司はいまいちピンときていない。
「これって、グレート・白斗桃のコーチをするって記事だろ?それがどうしたのさ?」
「どうしたもこうしたも、師匠は私の専属コーチじゃないですか!それがなんでこうなるんですか?私に見切りをつけたってことですか?」
「いや、専属になったつもりはないんだけどねぇ。この子はまあ、頼まれたからさ。成り行きだよ。お前のコーチだって、こうしてやってるじゃないか。」
「私に教える時間を割いて、この子にも教えるってことですか?そんなの納得いきません!私だってもっと強くなりたいのに……」
「じゃあ、一緒にやればいいじゃないか。相手がいた方がスパーリングもできて色々と都合良いだろ?」
「嫌ですよ!なんか、この子……ちやほやされてそうでムカつきます!きっと性格合いませんよ、絶対!そうに決まってます!」
「アンタたちの相性なんて知らないよ。アタシも手間は増やしたくないからね。丁度お前の練習相手も欲しいと思ってたところだし。二人とも空中戦得意だから、お互い意見交換もできるじゃないか。」
「キャラ被ってるじゃないですか!この子は猫でしょ?私が鳥だから動物被りだし!ファイトスタイルも似てるだなんて、私が目立たなくなっちゃいますよ!」
「もう、うるさいねぇ……じゃあ、どうしたら良いのさ?」
「……じゃあ、この子と試合組んで下さい!私が勝ったら、この子破門にして下さい!私が負けたら師匠の好きにして構いません!」
「えぇ、なんだいそりゃ?なんか面倒臭いねぇ、なんでアタシがこんな目に……それもこれもファントム坊やのせいだね。よし、アイツに全部押し付けるか。アンタさ、ヤマプロの所属になりなよ。」
「えっ?私はフリーの渡り鳥、ひばりですよ?1つのところに所属なんて……」
「なんだか知らないけどさ、その辺は自由らしいよ。アタシも所属したからさ、入っちゃいなよ。そしたらすぐ試合組んでくれるんじゃない?」
「えー?でもなー!私のアイデンティティがなー!でもまー、私がどうしても必要って言うんなら、まー考えてあげても良いですけどー!どうします?」
もう好きにしなって……