Phantom.5 メインイベント 習志野 奏 vs 信道 進

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信道必殺のバックドロップを何度食らっても立ち上がる

最後はジャーマンスープレックス一発で勝利をもぎ取った。

 

首に氷嚢をあてがいながら、リングを去っていく信道。

奏はマイクを取り、意気揚々と会場へと声をあげた。

 

「本日は皆さん、ご来場ありがとうございました!

信道さんは強かったけど、何とか勝つことができました。

 

これも皆さんが僕にエネルギーを送ってくれたお陰ですね。

皆が僕に力をくれるなら、僕は誰にだって負けませんよ。

 

例え!僕の憧れる、長谷川さんにだって!そうでしょう?

今日、ヤマプロに来て2戦目でメインを任されて、勝った。

 

で、さっき長谷川さん言いましたよね?次は誰だ?って。

なら次は僕なんじゃないですか?皆だって見たいでし……」

 

ここでテーマ曲が流れる!これは、ファントム・ヤマプロのテーマだ。

入場口からはマイクを持ったファントム・ヤマプロが現れた。

 

「待って下さいよ、奏くん。確かに私は貴方には期待しています。

でもね、彼は今やヤマプロの真のトップ、己の赤を打ち付ける男です。

信道を一度倒しただけで、それに相対する存在になるとは思えません。

もうひとつ、実績を見せてくださいよ。話はそれからにしましょう。」

 

「トップのひとりを倒したのに、まだダメだって言うんですか?

この後、トップ全員を倒さないといけないとか言いませんよね?

現実見て下さい。そんなんじゃファンが、観客が納得しませんよ?」

 

(そうだー!そんなに長谷川の事が大事なのかー!?)

(かなでー!そんなヒョロいオッサンやっちゃえー!)

 

「勿論です。次の結果次第で貴方の望むカードを組みますよ。

次は当然信道より強い、もしかしたら長谷川さんより強いかも。

彼、いや彼らとはチームで、3vs3で戦ってもらいます。

D.O.P.Eの面々と協力して、この困難を乗り越えてみなさい。

貴方は自分の若さを恨むでしょう。本物のプロレスを知るでしょう。

貴方の考える未来は幻、そう全ては!幻なのです……」

 

(何が幻だー!現実を見せてやれー!)

(かなでーーー!!!)

 

奏は観客の声にガッツポーズで応える。会場は大歓声に包まれた。

 

ファントム・ヤマプロの思惑通りに事は進んでいた。

しかし、何事も思い通りに行かない事も知っていた。

 

次回呼び寄せた連中に奏達が食われてしまわないだろうか?

どんなに心配しても、全ては選手達を信頼するしかなかった。