ガウル重田は控え室で息巻いている。
「信道さん!私達も軍団を結成しようじゃありませんか!」
「ぐ、軍団かい?」
「そうです!
長谷川修二率いるクリムゾン・クラン!
習志野奏率いるD.O.P.E!
シュプリームにラーク・カンパニーも!
このままじゃ私達、埋もれてしまいやしませんか?」
「そうかい?全力を尽くしていればお客さんは見てくれると思うけど。」
「いーや!軍団対抗戦があちこち繰り広げられたらね、私達前座の仕事しか無くなりますよ!私はね、もっと人気が欲しい!」
「えっ?そういう理由なの?それはちょっとなぁ」
「あーいやいや!そうではなく!そうではなくてですね!
結局派手な選手が注目されるのですよ。それは仕方ない。
しかし、派手なら何でも良いのか?そんなこと無いでしょう?
私達の昔からの技が地味だからとないがしろにされかねない。
プロレスラーには確かな技術が必要なんです。そうでしょう?」
「まあ、そうだねぇ」
「でしょー!?最近の若者はね、昔からある基本をないがしろにしてるんですよ。観客だってそう。でもね、本物はここにある。本物をお客さんに見せていかないと技術も廃れてしまうんです!ねぇ、基本にこだわった私達の姿をお客さんに見せていこうじゃないですか!」
「なるほどね。確かにそうかもね。」
「若者に伝承していくんだから、メンバーは若い方が良い。ノーマン・オブスキュラなんかは若いくせにやたら古臭い技を使うから、彼は勧誘しましょう。あとは新人の二人かな?ファントム・ヤマプロが鍛えてるから、基本はバッチリだ。技の継承で、プロレス界に明るい未来を!」
「これは面白そうだね。まあ自分にもできることがあるなら協力するよ。」
「いや、あなたは大将ですよ。」
「えっ!?そ、そりゃあいったいぜんたい……」
「いやいやいや、団体のエースがチームのリーダー、当然ですよ。あんたが大将!なんつってね!だーはははっ!そして私はね、名参謀なの。うふふ。」
「はぁー、そういうもんかね。どうも心配だけど、自分は全力でぶち当たるだけだから。まあ難しいことは任せるよ。」
「了解の助~!チーム名は……そうだ、オールド・スクールというのはどうです?シブいでしょ?」
「な、なんかそのまんまだね。まあ、良いと思うよ。とりあえず自分は試合があるので。今日は久しぶりの第一試合、フレッシュな熱波猛との戦い、楽しみだなぁ。」
「ちょっと!チーム作ったんだから!セコンド、付きますよ~!ついでに熱波の勧誘もしないとね。どれだけ成長したもんか、いっちょ実力を確かめてやろうじゃないですか!査定ですな!」
「いや、戦うのは自分なんだけど…」