抗う行徳恭二を、葛西琢磨はタイガードライバーで切って捨てた。
雄叫びをあげる葛西。
行徳はしばらく立てなかったが、リングを転がるようにして降りていった。
葛西はマイクを要求した。
「勝ったぞ!!俺の、俺の勝ちだ!
今日は、俺が勝った。次は、分からない。そんな戦いだった。
なあ行徳。お前、こんなもんじゃないだろ?まだやれるだろ?
俺達の決着は、まだ先だよな?俺達もっと上にいけるぞ。
お前の言う最強はまだだろ?俺の言う最高もまだまだだよ。
もう一丁だ。またやろうぜ、ライバル。」
行徳は肩を借りて引き揚げる中、片腕を上げて応えた。
一進一退のライバルストーリー。
決着はまだまだ先の話のようだ。
そう思いながら小さな拍手を送る女性が客席に一人。
その拍手は大歓声の中に消えていった。