観客からの暖かい言葉。
「次は頑張ってね。」
「応援しているよ。」
先輩からの厳しい言葉。
「基本を疎かにしては駄目だ。」
「そこで耐えないと駄目だ。」
戦う相手はいつも格上。
勝てるわけがない戦い。
新人だから仕方無いだろう。
戦う場があるだけ恵まれてる。
だからって何でも我慢しなきゃいけないってのか?
俺だって勝ちたい。勝つために鍛練を積んでいる。
派手で強力な技だって使いたい。注目を浴びたい。
俺の憧れたプロレスラーはこんなんじゃなかった。
もっと強くて、格好良かったんだ。
今日は6人タッグマッチ。
大型の外国人が揃うシュプリームの面々が相手だ。
対するこちらはD.O.P.Eの二人と組むことになった。
どう考えても自分が白星配給係だ。
だが、そう簡単にはいくものか。
今日は、食らいついてやる。
俺は、負けたくなんかはない。
一緒に組む二人は若いが、強いし、技も格好良い。
なんでだ?俺と彼らの違いは何なんだろう?
今日はこの二人からも盗んでやるんだ。
俺に足りないものは何なのか?確かめてやる。
このままでいられるものかよ。
俺は何にも縛られたくはない。
俺が越冬燕一郎だってんなら、いつかは飛び立たなくちゃ駄目だろ?