Phantom.7 第五試合 D.O.P.E & 越冬 燕一郎 vs シュプリーム

 

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健闘虚しく、二発のシャイニングウィザードの前に越冬は沈んだ。

24-my-show内城信敏のカットは間に合わなかった。

 

駆け寄った二人は越冬を介抱しつつ、健闘を讃えていた。

実際、いつも以上の粘りと闘争心を見せていたのだ。

タッグを組んだ二人に触発されたのかもしれない。

会場からも拍手や声援が送られていた。

 

そこへ、リングサイドにガウル重田熱波猛が現れる。

ガウル重田はマイクを持っている。

 

「おい、越冬!お前なかなかやるじゃないか。

実力者達とここまでやり合えたんだ。大したもんだ。

しかしな、これが実力の差だよ。お前なんてまだまだだ。

 

でもお前才能あるよ。お前に足りないのは身体を活かした技だ。

どうだ、俺達と一緒に来ないか?俺達は今日、軍団を作ったのだ!

 

俺達の持ってる昔から受け継がれてきた技、若者に伝えたいんだ。

それを身に付けてトップを目指せ!古の技ここにあり、だよ。

さあ、俺達と組もう。共にトップを掴もうじゃないか。」

 

越冬は立ち上がり、目をギラギラさせながら叫ぶ。

 

「俺は!そんなところで留まってなんかいられないんだよ!」

 

そう叫ぶと越冬は膝から崩れ落ちた。

身体はボロボロでも、そう叫ばずにはいられなかった。

もう心を、押し込めてはいられなかった。

 

後ろにはD.O.P.Eの二人が立っていた。

この若い二人は大きな外国人達と対等に渡り合っていた。

経験や年齢だけで強さは計れないんだと思った。

 

そう思った越冬は、自然と二人に向かって正座をしていた。

 

「ニシミヤさん!内城さん!

俺を、俺をD.O.P.Eの一員に加えて下さい!

俺、弱いけど、早く一人前になりたいんです!

俺は……俺は……勝ちたいんです……」

 

そう言うと、涙を流し、頭を下げて土下座した。

 

ガウル重田はマイクを持ったまま、開いた口が塞がらない。

24-my-showと内城は目を合わせている。

 

しばらくして、24-my-showが越冬の肩に手をかけた。

 

「そう思うんならよ、土下座なんてするな。ちゃんと目を合わそうぜ。」

 

越冬は顔を上げる。

 

「決めるのは大将の奏だ。でも、口添えぐらいはしてやるよ。

さっきのお前、気持ちの入った戦いしてたぜ。格好良かった。

なら、資格はあるはずさ。俺達はDOPEなんだからな。」

 

越冬は二人の肩を借り、共に控え室へと向かっていった。

 

燕は冬を越え、春の空へと飛び立とうとしていた。