健闘虚しく、二発のシャイニングウィザードの前に越冬は沈んだ。
24-my-showと内城信敏のカットは間に合わなかった。
駆け寄った二人は越冬を介抱しつつ、健闘を讃えていた。
実際、いつも以上の粘りと闘争心を見せていたのだ。
タッグを組んだ二人に触発されたのかもしれない。
会場からも拍手や声援が送られていた。
ガウル重田はマイクを持っている。
「おい、越冬!お前なかなかやるじゃないか。
実力者達とここまでやり合えたんだ。大したもんだ。
しかしな、これが実力の差だよ。お前なんてまだまだだ。
でもお前才能あるよ。お前に足りないのは身体を活かした技だ。
どうだ、俺達と一緒に来ないか?俺達は今日、軍団を作ったのだ!
俺達の持ってる昔から受け継がれてきた技、若者に伝えたいんだ。
それを身に付けてトップを目指せ!古の技ここにあり、だよ。
さあ、俺達と組もう。共にトップを掴もうじゃないか。」
越冬は立ち上がり、目をギラギラさせながら叫ぶ。
「俺は!そんなところで留まってなんかいられないんだよ!」
そう叫ぶと越冬は膝から崩れ落ちた。
身体はボロボロでも、そう叫ばずにはいられなかった。
もう心を、押し込めてはいられなかった。
後ろにはD.O.P.Eの二人が立っていた。
この若い二人は大きな外国人達と対等に渡り合っていた。
経験や年齢だけで強さは計れないんだと思った。
そう思った越冬は、自然と二人に向かって正座をしていた。
「ニシミヤさん!内城さん!
俺を、俺をD.O.P.Eの一員に加えて下さい!
俺、弱いけど、早く一人前になりたいんです!
俺は……俺は……勝ちたいんです……」
そう言うと、涙を流し、頭を下げて土下座した。
ガウル重田はマイクを持ったまま、開いた口が塞がらない。
24-my-showと内城は目を合わせている。
しばらくして、24-my-showが越冬の肩に手をかけた。
「そう思うんならよ、土下座なんてするな。ちゃんと目を合わそうぜ。」
越冬は顔を上げる。
「決めるのは大将の奏だ。でも、口添えぐらいはしてやるよ。
さっきのお前、気持ちの入った戦いしてたぜ。格好良かった。
なら、資格はあるはずさ。俺達はDOPEなんだからな。」
越冬は二人の肩を借り、共に控え室へと向かっていった。
燕は冬を越え、春の空へと飛び立とうとしていた。