試合は終始ニック・エリオットのペースで展開していた。
首への執拗な攻撃がじわじわと習志野奏を苦しめていた。
何とか場外へ持ち込んでペースを掴むと、空中技の連発で活路を見出だそうとする奏。
しかし、コーナーへの強烈なパワーボムで強引にペースを戻したニックは、次第に危険な大技を連発していく。
猛攻を何とか堪え忍び、反撃を試みる奏だが、既に息が切れている。
首のダメージもかなり蓄積されているようだ。巧みな戦術である。
最後はニックの必殺技、ロータリーボーリングで首からリングへ垂直に突き刺さした。
奏には、もう起き上がる力は残っていなかった。
ニックは恍惚の笑みを止めることができない。
いや、隠すつもりは全くない。むしろ見せつけたい気分だった。
こんな若くて活きの良い男を、これでもかと痛めつけたんだ。
会場の大観衆だけじゃない。これは全世界に配信されるのだ。
最高じゃないか!
これぞ俺のやりたかったこと。
俺が見せたかったのはこういうショーだ。
金ならいくらでもある。商売の成功なんて俺には退屈で仕方ない。
俺はもっと苦痛に歪む顔が見たいんだよ。屈強であればあるほど良い。
自尊心をぐちゃぐちゃにしてやる瞬間がまた堪らないんだ。
ヤマプロは、俺の最高の娯楽空間になりつつあるぜ。
これからどんなショーが繰り広げられるのか、楽しみで仕方ないぜ!