Phantom.7 メインイベント 長谷川 修二 vs P・K・ラーク

 

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フフッ、フハハハハッ……

 

P・K・ラークは笑いを堪えることができなかった。

 

 

 

ファントム・ヤマプロよ。俺の対戦相手なんだが、せっかくのメインイベントなんだ。どうせなら一番人気のある奴にしてくれ。」

 

「一番人気ですか……今だと恐らくは長谷川修二じゃないかと思いますね。それが師匠の条件ということならば、それで組みますよ。」

 

「そうか。誰だか全然知らんが、まあそいつでいいだろう。楽しみだなぁ。」

 

「しかし、長谷川修二はかなり当たりが強いです。決して楽な相手じゃないし、ショーにはつき合ってはくれませんよ。全力で倒しにかかってくるでしょう。」

 

「そうか。まあ何でも良い。人気があるなら、盛り上がるならそれで良いんだ。心配するな。負けたからって急に癇癪を起こして逃げ出したりなんてしねぇよ。」

 

 

聞こえてくるぞ。

この観客の怒号。

最高じゃないか。

 

プロレスを普通の格闘技か何かと勘違いしてるんだろう。

ああいう技で決着することに納得がいかないんだろう。

 

だがな。

 

そんなお前達が一番好きな選手を、こんな風に料理してやったんだ。

これでどんな文句が言えるんだ?現にこいつは敗れたじゃないか。

プロレスってのは何でもありなんだよ。何でもな。

 

ショーとして完成しているアメリカじゃこうはいかない。

実権を握ってる奴等の思うようなストーリーしか描かれない。

今やレスラーに本当の自由なんて存在しないのさ。

 

日本にはまだスポーツライクなタフネスマッチが残っている。

こういう奴等を相手にするからこそ、俺はヒートを買える。

この大観衆から批判を受ける度に俺の価値は上がるだろう。

 

そうすれば、金と栄光が俺の元に転がり込んでくるのさ。

仕事をしている限り、無限にな。配信も始めて分母も増える。

こんな良い商売は無いよな。負けなけりゃ良いんだ。

 

俺は相手も、試合も、観衆も、団体をも支配してやる。

全て俺の思う通りに操作して、動かしてやるんだよ。

誰も、俺を倒すことなんてできないんだからな。

盛り上がる演出をして、最高潮のところで掴み取るんだ。

 

今日の生け贄はベストだったな。

ショーマンがスポーツに勝てるわけないって空気だ。

ギリギリの展開で、反則から一瞬の丸め込みで決める。

納得のいかない声。こんなのは認められない。

次は誰だ、リベンジしてくれ、あんなのはフェイクだ。

全て俺が描いた、台本のない物語を紡ぐ大舞台。

 

ヤマプロのリング、俺にとって最高の舞台のようだ。

唯一全てを読み解く俺だけが本当の自由な存在だよ。

さて、今度はベルトでも用意して貰おうかな。

 

このリングはラーク・カンパニーを中心にして回るんだよ。