必殺技:ガンビーノ(ショルダーアームブリーカー)
多彩な関節技を操る職人レスラー。派手なアピールなどはしないが、どのような態勢からも関節技を仕掛けてくる巧みさに一部のマニアからは絶賛されている。イギリスを主戦場としていたが、日本にはずっと憧れていた。普段は寡黙であるが、技術の話となると積極的になる。陽気ではないが情熱的ではあり、一人の女性に深い愛を捧げるタイプ。両親を尊敬しており、家族愛が強い。
ピアッジョはフィレンツェの革細工職人の家に生まれた。父親は親日家で柔道三段の腕前。心身の育成のためと父親に勧められ、ピアッジョも幼い頃から柔道を習うようになった。ピアッジョは父親が好きだった。寡黙だが紳士で優しく、美しい革細工を生み出していく真剣な仕事姿に憧れていた。いつか父親のような革細工職人になりたかった。
柔道の腕前はそこそこだったが、寝技が特に好きで、寝技に引き込んだ後は負けたことがなかった。ある日、大きな書店にて柔道に似た格闘技「コンバットサンボ」の本に出会う。その本によると柔道よりも寝技の技術が多彩で、とても魅力的に映った。ピアッジョはフィレンツェ市内を探し回り、唯一コンバットサンボを教えているジムを探し出し、通い始めた。そこで学ぶ寝技、関節技は魅力的で、ピアッジョは深く格闘技の世界へとハマっていった。
すっかり格闘技マニアとなったピアッジョは、マニアックな資料収集にも熱心であったが、ある時見つけたビデオに衝撃を受けた。日本やイギリスのプロレスが収められたその映像では、寝技の応酬が繰り広げられており、観客もそれに対して声援を送っているのだ。ピアッジョは自分の趣味としてやってきた事が商売になることを初めて知ったのだった。
ピアッジョは自分の将来について両親に相談した。父は言う。
「これはお前の人生だ。お前のやりたいことをやりなさい。どうせやるならその世界の職人を目指せ。他人への礼節だけは忘れるんじゃないぞ。」
ピアッジョは自分も革細工職人になるつもりだった。しかし、いま一番興味のあることは別にある。それを追及しなくては先へは進めないのだ。ピアッジョは父の言葉に深く感謝をし、大学へは行かず、イギリスへと飛んだ。ランカシャーレスリングを学び、プロレスラーになるために。
数年後、プロレスラーとなったピアッジョ。自身の技術を高みへと近付けてはいったものの、試合ではあまり勝てない日々が続いている。人気もあまり出ずに小さな団体での活動が続いていた。イギリスは、ビデオで見ていた時代とは異なり、派手な試合をするものが支持を受ける時代になりつつあった。マニアックな寝技の応酬は一部のマニアしか喜ばない。小さな地方での興行や、結婚式での余興みたいな試合だとコミカルさが求められる。寡黙なピアッジョはそういう事が苦手であった。純粋な技術の攻防を観て欲しかった。
地元に帰ることも考えるようになっていたある時、日本からファントム・ヤマプロという選手が参戦していた。ピアッジョはここぞとばかりに日本のこと、技術のことで質問攻めにしていた。色んな話をしているうちに今悩んでいる相談まで始めてしまった。ファントム・ヤマプロは嫌な顔せず聞いてくれた上、こう言った。
「日本もイギリスと似たような所はありますが、あなたみたいな選手が好きなファンはまだまだいます。いつか私が貴方を日本に呼びますから、どうか研鑽を続けて欲しい。私も貴方のような職人の仕事が大好きなんですよ。」
憧れの地であった日本へ行ってから辞めるのも悪くない。ピアッジョはやる気を取り戻していた。自分は父のような職人を目指すのだと。研鑽を積めばいつか誰かの心に響くのだと信じることにした。ふとファントム・ヤマプロが使っている財布が気になった。どことなく見覚えのある色鮮やかな革細工であったからだ。
◯FPWNET
https://firepro-w.com/item/detail/202681
◯紹介動画
オリジナル選手紹介「ピアッジョ・バレンティーノ」【ファイプロW】 - YouTube