朝のオーケストラ

たまにはヘッドホンをせずに家を出る。

お気に入りの音楽だって聴きたくない時がある。

 

家周辺は閑静な住宅街となっており、静けさの世界だ。

何らかの音は聴こえるが、はっきりしたものはない。

 

微かな音の中で一番大きいのは自分の足音だ。

一つ芯のあるコツコツというはっきりとした音。

殆ど一定だが、時々タイミングが外れたりして面白い。

 

進むに連れて足音は増えていく。

遠くからの物音も徐々にはっきりとしてくる。

 

何の鳥か全く分からない鳴き声。

小さな子供の明らかな嘘泣きの大声。

 

意地になって坂道をスケボーで登っていく青年。

狭い車道に見合わないスピードで走り抜ける車。

 

角を曲がり、少し大きな道に出る。

真っ直ぐ進めば最寄りの駅だ。

 

車通りが増え、歩く音に走る音とリズムも複雑になっていく。

踏切のアクセントに加え、店からの音、そして電車のアナウンス。

 

クライマックスを迎え、音の広がり盛り上がりは最高潮となる。

 

電車の扉は閉まり、一つの演奏は終わりを迎える。

続いてガタンゴトンと次の演奏へと世界は続く。

 

 

 

なんかこういうのあるよね。お洒落風の雑誌とかに。

ただの思いつきです。おしまい!