800mめちゃくちゃ面白いよ!

私は学生時代、陸上をやっていました。主に中距離担当でした。

大した選手ではありませんでしたし、真剣にやっていたかというと、まあだいぶ甘かったなと思います。それでも色々な種目をさせてもらったのは良い経験でしたし、経験があるおかげか見所を少しは分かるので、陸上競技見るのは割と好きです。

 

今回の東京オリンピックも色々思うことはあるものの、単純に陸上競技は楽しんで見ましたね。奥さんも陸上好きなので一緒に見てました。一緒に見る人がいるから見てるってのもあるかな?一人の時はそこまで見てなかった。世界陸上はもっと面白いですよ!是非とも皆さん見てもらいたいですね。

 

って主題からズレてきたので戻ります。

で、オリンピック終わったので今さらオススメしてもアレなんですが、私がとってもオススメしたい陸上競技の種目があるので、今回はそれについて書きたいなと思っております。はっきり言って一番面白いです!その競技とは……

 

「800m」です!ババーン!!ババーンギタ!!!

 

知ってますか?知らないって方が多いんじゃないかと思います。そもそも中距離って種目自体が一般的にマイナーだと思ってます。競技者の中でも決して花形ではない印象です。私が初めて800m出場した時も、中距離で1500mの出場者枠は埋まってるし……空いてるから出る?くらいのノリだったかと。

 

真剣にやってる方には失礼ですし、もっと重要視されてるよ!って意見もあるかもしれませんが、私が通っていたスポーツ推薦でも何でもない学校の中ではそんな印象だったと記憶してます。

 

思い出補正?まあでもそんな影の薄い競技だと勝手に思ってるのですが、初めて走った印象として、なんか面白かったなーというのが当時幽霊部員だった私が感じたことです。それを経験してからは進んで800mに出場し続けました。

 

約6年走って私のタイムは2分も切れない程度のものでしたが、はっきり言ってどの競技と比べても一番面白かったと自信をもって言えます。10種競技にも出場したので、ほぼ全ての競技を経験した上での意見です。向き不向きもあるだろうし、他の競技だって面白味は勿論ありますけどね。

 

800mという競技は通常の陸上トラック、一周400mのコースを2周する競技です。所要は概ね約2分。当然トップの方々は速くて、男子だと1分40秒台という世界です。ただ2周するだけではあるのですが、この2分の間には戦いがあり、駆け引きがあり、そしてドラマがあるというなんとも濃厚な時間となるのです。

 

800mのスタートはカーブとなっている第一曲走路から立ったままの状態(スタンディングスタート)で始まります。そこから第一曲走路である100mの間は同じレーンを走るセパレートコースとなり、バックストレートとなる直線からはレーンを自由に移動できるオープンコースになります。700m分は全てオープンコース、最後まで続きます。

 

この仕組みが中距離種目最短最速である800mを熾烈なものへとしています。オープンになった後は当然インコースを走った方が得策で、位置取りや駆け引きなどが非常に重要となります。これを争うため、選手同士の接触や転倒なども多く、激しいレース展開にならざるを得ない。そうしたことから800mは『陸上の格闘技』とも言われているのです。

 

セオリーとしては、最初の100mは後に良い位置取りをするためにスピードを上げる。オープンコースになったら直線の間になるべく上位グループ、できれば一位走者の右斜め後ろに位置取る。その後はポジションをキープしつつ一周分400m分を走り、残り200mでスパートをかけていく感じです。

 

しかし、いつもこの通りとはなりません。レーンがどこになるかによってもレースが変わります。スタートがインコースであれば他の走者が右に見えるのでスピード調整を測ることができます。アウトコースであれば左側の相手が見えないのでスピードを上げてオープンコースに入った時にインコース走者の前を被るような位置取りが必要です。

 

バックストレートに入った時にどこに位置取るか。集団が遅い、もしくはスパートに自信があるなら敢えて後方に位置取って様子を見ながら温存する手もあります。オープンコースになったことで発生するインコースの団子状態に巻き込まれるのを避けることもできる。

 

トップの位置取りは先行逃げ切りは狙えるものの、追われる立場になると焦って本来のペースを保てず、必要以上に疲れてしまうもの。トップになったら敢えてペースを落とし、後ろを付いていこうとするランナー全員のペースを落とさせる、本来のペースで走らせない作戦も使えます。

 

ベストなのはトップの右斜め後ろ。足音と、チラチラ視界に入ることでトップを煽り、メンタルと体力を削ります。さんざん削っておいてラストスパートの際にトップを抜いて勝負に出ることが可能です。斜め後ろはインコース第一レーンの右線沿いが望ましい。あまり右にいくと内側となる左から抜かれる可能性があります。

 

しかし、ベストポジションは誰もが狙っています。位置取りのためには押し合いや肘打ちなど激しい争いが行われます。攻め過ぎると転倒のリスクも発生します。争いに負けたランナーはラストスパートに入るまでに何かしら仕掛けていく必要が出てきます。

 

避けなくてはならないのは、四方を囲まれないこと。接触しないよう注意が必要な上、自分のペースでは走れなくなります。これがかなり体力を削られるのです。時には強引に脱出する必要があるかも。この状態にならないようオーバーペースで走ったり、後方に下がる選択肢も必要となります。

 

最初の200mで行われる位置取り争いから熾烈で、どのポジションになったかによって取るべき戦略は変わります。後方の場合はどこかでリスクを取って前に出ないと勝ち目はありません。中盤なら集団に埋没しないよう距離感への注意が必要、先頭なら後方の展開が見えない不利に惑わされない配分が必要です。

 

スピードの出しやすい直線で抜きにかかるか。コーナーリングでややスピードが落ちるところにスピードをあげて外レーンから抜きにかかるか。コーナーの入り際、直線の入り際に前方選手の前に被るように抜くのは効果があります。マナー違反とされる内側から抜きにかかる判断も時には必要です。

 

ランナーそれぞれの思惑が異なる中で、どれがこのレースの正解であるかを判断しながら、時には冷静に様子を見て、時には大胆にチャレンジを繰り返して順位を争う。ラスト200mにどんなスパートをもってこれるかが勝負です。一度として同じ展開はないのです。まさにレースは生き物なんですね。

 

400mだとそこまでの駆け引きはないです。決められたレーンを全力で走るのみ。1500mも約4分の世界ですが、スタートとラストの間の周回が少し長い。全てのカーブとストレートに意味があって、駆け引きによって相手と戦ってる感覚は800m特有のものなのです。

 

それぞれがどこでチャレンジして、どこで成否が出たかでドラマが生まれます。その約2分のドラマを酒を呑みながら楽しむ。これは最高ですね。皆さんもこれらの視点をもって是非一度試合を見てください。

 

YouTubeの動画でも今は気軽に見られます。私のような素人じゃなくプロ目線の解説動画もあるでしょう。私が書いたことが実態と異なる点もあるでしょうが、私はあくまで見て楽しむ視点で書いたつもりです。是非これをキッカケに陸上競技の楽しみ方のひとつを知って頂ければ幸いです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

PS。

今はネットで色々な情報も見れるし動画も撮れますよね。俺の時代もこうだったら、もっと深く取り組んでたかな?今の子達が羨ましいです。