Phantom.7
ファントム・ヤマプロはバックステージからリングを眺めていた。 ニック・エリオットは趣味を満喫できるなら、幾らでも金を払ってくれる。 P・K・ラークは支配欲を満たせるなら、魅力溢れる選手を提供してくれる。 そして私が話題溢れる仕掛けをしていけば…
youtu.be フフッ、フハハハハッ…… P・K・ラークは笑いを堪えることができなかった。 ― 「ファントム・ヤマプロよ。俺の対戦相手なんだが、せっかくのメインイベントなんだ。どうせなら一番人気のある奴にしてくれ。」 「一番人気ですか……今だと恐らくは長…
P・K・ラークは、どうやらファントム・ヤマプロの師匠らしい。 後は試合動画を観たり、雑誌で見かけた程度でしか知らない。 一応アメリカのトップ選手の1人、という事までは分かってる。 だが、長谷川修二にとって正直そこまでそそられる相手ではなかった…
youtu.be インタビュースペースに現れたラークカンパニーの面々。 ジョン・マクダニエル 「全ては正義の行いなのだよ。私に仇なす者、それは全て我が合衆国を汚す存在なのである。自由と正義を担うのは我が合衆国であり、愛国者達はその祝福を全て受ける権利…
クリムゾン・クラン控え室。 ヤッチー 「今日の相手はラークカンパニーだそうだ。前回の戦いは見たか?」 マッチー 「ああ。さすがP・K・ラークが揃えた面子だ。彼らのデカさ、パワー、桁外れとしか言いようがない。」 ヤッチー 「なんだ?怖じ気付いたの…
youtu.be 試合は終始ニック・エリオットのペースで展開していた。 首への執拗な攻撃がじわじわと習志野奏を苦しめていた。 何とか場外へ持ち込んでペースを掴むと、空中技の連発で活路を見出だそうとする奏。 しかし、コーナーへの強烈なパワーボムで強引に…
習志野奏が初めて目にしたプロレス。 長谷川修二がリングに打ち付けた赤。 奏の胸にもそれは打ち付けられていた。 自分を活かすにはこれしかない。 それ以外に考えられなかった。 それから初めて鍛練らしい鍛練をした。 今まで鍛練などしなくても何でもでき…
youtu.be 健闘虚しく、二発のシャイニングウィザードの前に越冬は沈んだ。 24-my-showと内城信敏のカットは間に合わなかった。 駆け寄った二人は越冬を介抱しつつ、健闘を讃えていた。 実際、いつも以上の粘りと闘争心を見せていたのだ。 タッグを組んだ二人…
観客からの暖かい言葉。 「次は頑張ってね。」 「応援しているよ。」 先輩からの厳しい言葉。 「基本を疎かにしては駄目だ。」 「そこで耐えないと駄目だ。」 戦う相手はいつも格上。 勝てるわけがない戦い。 新人だから仕方無いだろう。 戦う場があるだけ恵…
youtu.be 抗う行徳恭二を、葛西琢磨はタイガードライバーで切って捨てた。 雄叫びをあげる葛西。 行徳はしばらく立てなかったが、リングを転がるようにして降りていった。 葛西はマイクを要求した。 「勝ったぞ!!俺の、俺の勝ちだ! 今日は、俺が勝った。…
学校のレスリング場に二人。レスリング部を今日で引退する二人。 彼らは最後の試合をここで行う。二人きりの果たし合い。 どちらがトップだったかを最後に決めるため。 ストレッチしながら葛西は行徳に聞いた。 「恭二、お前は卒業したらどうするんだ?」 「…
youtu.be 一瞬の隙を突いて決めたラビット司のバックドロップホールド。 J・Dは立ち上がれそうにない。最後は最年長者が勝負を決めた。 みんな色々な思いがあるのは分かった。 でもね。 アタシの方が長くやってた分、思いも強いんだよ。 こちとら長年全く脚…
J・Dことジュディット・ダルデンヌは大真面目だ。 その性格が災いしてか、よくからかわれた。 考えるより身体を動かしている方が気分は晴れた。 サバットをやっている頃は練習すれば強くなれた。 プロレスは、どうも難しい。強くても評価は低い。 お客さんの…
youtu.be 俺達は、こんなもんじゃない。 リング上の全員が呟いていた。 まだまだやれる。 もっと高められる。 極限のヤマプロジュニアを作り上げる。 誰もがその意識をもって戦っていた。 今日の結果は通過点。次は今日以上の事ができるはずだ。 ヤマプロの…
ファントム・ヤマプロは感慨深げに会場前の客席を眺めていた。 大小様々な団体を渡り歩き、海外も各地を回った。 そして日本に戻り、また団体運営をスタートさせた。 きっかけは若者二人の訴えかけによるものだったが、もうあとには引けなくなった。 これだ…
youtu.be 熱波猛はやれることをやり尽くした。 しかし、信道進は全てを受け止めた。 何度打ち付けても信道は起き上がる。 息が上がった所で熱波はバックを取られる。 信道必殺のグレコローマン・バックドロップが熱波に炸裂! 意地で立ち上がるも、すぐさま…
ガウル重田は控え室で息巻いている。 「信道さん!私達も軍団を結成しようじゃありませんか!」 「ぐ、軍団かい?」 「そうです! 長谷川修二率いるクリムゾン・クラン! 習志野奏率いるD.O.P.E! シュプリームにラーク・カンパニーも! このままじゃ私達、…