タッグ屋

ティム・マーティンは笑っていない。

 

「今回は気が乗らないな。今日の相手はどっちも不細工じゃないか。オレはハセガワみたいなのをグチャグチャにしてやるのが趣味なんだ。どうも張り合いがないよ。ボスが譲ってくれたら良いんだが……まあいい。ボスがボコった後にでも潰してやろう。じゃあ予行演習で日本人の二人をグチャグチャにしよう。不細工をグチャグチャにしたら案外顔も整うかもしれない。まあそうなったらもっとグチャグチャにするがな。あんたはどうなんだい?相棒。」

 

ブルーノ・ベローズは笑わない。

 

「オレは人間が相手なら何でも良い。できれば強そうな奴が望ましいがな。屈強で強気な奴が息も絶え絶えになってもがき苦しみ、嘔吐する姿はとても尊い。人気は高い方が良いだろう。客のヒートも最高潮に高まる。オレもハセガワが良かったが、同じ仲間なのだろう?煽りが効いて悪くないかもしれん。どっちにするか。どっちもやればいいな。二人してのたうち回れば賑やかで楽しくなるだろう。お前の取り分は無いぞ、相棒。」

 

 

ヤッチー河馬は無神経だ。

 

「どうもアメリカではかなり活躍していたらしいんだが、なんせ俺は情報にはとんと疎いからな。こいつらのこと、全然知らん!本当に強いの?何か結構でかいけどさ、タッパだけあってもぶん殴ったらヘナチョコだったって、良くある話だよな。まあ俺が本気出せば、ドーンとやってバーンしてダーンだから。余裕だね。マッチーもいるし大丈夫でしょ。」

 

マッチー一角は神経質だ。

 

「もっと相手の事をよく見た方が良い。この前あいつらと揉み合ったが、二人とも握力が強い。力はかなりあるぞ。俺も雑誌でしか見たことは無いが、無名ではない。あいつらのボスは壊し屋としては有名だ。干されてた筈だが、この日本を食い物にしようと来た連中だ。慎重に出方を伺うべきだ。ヤッチーは本当に本気を出してくれ。俺も捕まえ次第ぶん投げる。やられる前に潰すぞ。」

 

この四人は巧みなチームプレイを持っているわけでは無い。

気の合う仲間だというだけで、やりたいように戦う壊し屋だ。

ユニットの主導権を賭けた、壮絶な壊し合いがこれから始まる。

 

youtu.be