最後はファントム・イレイサーでツチグモをガッチリと締め上げたファントム・ヤマプロ。
勝ち名乗りを受けた後、珍しくマイクを要求している。
「見てくれましたか?これがヤマプロの原点、これが私達のレスリングです。
決して派手ではありませんが、ここには純粋な闘争が、闘いがあります。
これからも根底に流れるものは変わりませんよ。若い選手達にも伝えていきたい。
しかし!これじゃあ貴方達は足りないんでしょう?満足できないんでしょう?
若手の成長も見せたい。ベテラン達の頑張りも見て欲しい。技術の攻防を見て欲しい。
私達の戦いにはドラマがある。この物語をずっと見ていて欲しい。頑張っています!
刺激を産むために色んな選手を呼びました。この新しい血が、新しい闘争を産んでいます。
実力派の外人が来ました。新しい波も取り入れました。女子もジュニアもいるんです。
でも、まだ足りないんでしょう?もっと混沌としたものを見たいんでしょう?
次はアメリカの大物を呼びます。私の師匠と呼んでも差し支えないでしょう。
彼等を呼ぶんですから大会場での開催でなくてはなりません。大博打です。
でもね、約束します。必ずや貴方達の記憶に残る、伝説を起こしてみせますよ。
私達は人生を賭けています。この身体を投げ打って、闘っているんです。
騙されたと思って来て下さい。もう二度とこんな事は出来ないかもしれません。
残りの2試合も楽しみにして下さい。物語を紡ぐ大事な試合となるでしょう。
私が、いや私達が、現実には無い最高の夢を、いや最高の幻を、見せてやりますよ。
全てはそう!幻なのです……」
ファントム・ヤマプロは団体運営の厳しさを知っている。
どこまで話題を作れば良いのか、お金を使えば良いのか。
正解は分からないが、何もせずにはいられないのである。
苦悩しつつも思いつく限りのことをやっていくしかなかった。