不自然な肉の欲に溺れた罰として、神より永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされた者達。
彼らはヨルダンよりやってきた。正しき者まで残さず滅ぼされた恨みを晴らすため。
彼らは神を、神を信じる者達を根絶やしにするため、破壊の限りを尽くす滅びの象徴である。
「それがソドムとゴモラです。実際、彼らはかなりの実力者ですよ。アメリカマット界での人気も高い。ただし、レスラー間の評判は悪いみたいですね。かなり粗っぽいようだから、怪我人も多く出ているそうです。」
ファントム・ヤマプロは資料に目を通しながら、ツチグモに状況を説明していた。
「そんな奴等をリングに上げて大丈夫なのか?」
「分かりません。」
「分かりません、って……」
「それを見極めるための私達です。危ない奴等を受け止めるのは何時だってベテランの仕事。そうでしょう?」
「俺は神を信じた覚えは無いんだがな。滅ぼすって言ってるんだろ?」
「彼らは私のクライアントがお気に入りなんですよ。人気も実力もある外国人を呼べるのは大変ありがたい。彼らはこのジュニア戦線をレベルアップさせるし、大いに盛り上げることになるでしょう。ただし、本当に無法者なら、誰かが止めなければなりません。」
「分かった。その見極めは俺達にしかできないだろうな。じゃあ仕掛けてきたら遠慮なくやるぞ。」
「気を付けてくださいね。彼らはパワー、スピード、テクニックを高いレベルで持ち合わせています。油断したら一発でもっていかれますよ。」
「だが、俺達にはやる技術と覚悟がある。簡単に滅ぼされるわけにもいかないしな。そうだろ?」
「無論ですね。彼等は幻を見ることになるでしょう。」
彼等はヤマプロを滅ぼす存在となるのか、もしくは怪しい術中に陥ることとなるのか。