腕をこれでもかというくらい痛め付けられ、タイガースープレックスでカウント2.9まで追い詰められた。
もう一発は食らわない。意地で切り返してからは巻き返しを図る。
一気に攻め立ててからの、タイガースープレックス!
……ワン!……ツー!……スリー!
全てを受け切って勝つことに意味があると信じていた。
かなり危なかったが、完全に俺が勝った試合にしたかった。
この闘争には完全決着、納得できないと終われない気がしたのだ。
俺達には熱く、割れんばかりの拍手と歓声が贈られている。
遺恨なんて無い。彼は熱い男だった。それだけだ。
俺は握手を求めた。
それを見た彼はにらみ返して一言。
「お前の輝き、いつか汚してやるからな……」
そう言うと、手は握らぬまま足早にリングを降りていった。
あの目、これからも熱い戦いができそうだ。
どうにも今日で終わりにできそうにないな。
いつもより集中していた彼は、間違いなく強敵だった。
次はあいつの番だ。過去の清算だと言われているカード。
ちゃんと熱い戦い見せないと嘘だろ。
過去じゃなくて、今を見せないとな。
俺達、今を生きるプロレスラーなんだからさ。
俺がしっかり、見届けてやるからな。
その後は……