手練れであるノーマン・オブスキュラとのグラウンド対決は一進一退かのように見えていた。それだけ熱波猛は自身をコントロールできていた。激しい攻防に会場からはどよめきが起こる。しかし、それでもやはり徐々にノーマンがペースを握るようになっていった。
熱波は体格を活かして状況の打開を試みるが、ノーマンは攻撃の手を強めてペースを離さない。最後はコーナーポストからのダイブ、グレースケールでノーマンがフォール勝ちを収めた。会場からは惜しみない拍手が二人に送られていた。
ファントム・ヤマプロは袖から覗いて全てを観ていた。
パワーファイターには似つかわしくないグラウンドの攻防であったが、十分なレベルで応対していたように見えた。しかし、追い詰められた時に出てくる技が本当に極めるべき技である。熱波が終盤に見せたのは、体格を活かした力技であった。日本人にしては恵まれた体格である。それを活かさない手は無いように思えた。しかし、その奥深さを学べるか、気付けるかは本人次第であろう。今後どのようにして長所を伸ばしていくか、少し思案することにした。
それよりも悩ましいのはノーマンをどう言いくるめるか、それが問題であった。