両者リングサイドにはチームメンバーが揃ってる。
一方は大将を勝たせるため。もう一方は大将を守るため。
大将を勝たせようと、一方は早々にイスをリング内に投げ入れる。
ニック・エリオットは存分に揺さぶりをかけながら首に狙いを定める。
巧みな心理戦を仕掛けられ、長谷川修二は防戦一方となる。
首への攻めは厳しく、必殺のロータリーボーリングも早々に繰り出す!
更に高速のドラゴンスープレックスで追い討ちをかけられ、長谷川の首には激痛が走る。
追撃が止まない中、なんとか巻き返しを図るものの、セコンドが介入してくる。
大苦戦を強いられる中、長谷川は耐えに耐える時間が続く。
リングサイドからはチームメンバーから声援が送られている。
そうして試合時間が20分を越えた頃、レフェリーがようやくセコンドを振り切る。
そこですかさず長谷川は起死回生のストラングルホールドαを仕掛けた!
ニックはたまらずタップ、シングル初対決は長谷川が辛くも勝利した。
「ニック・エリオット!強かったよ。正直内容では負けていた。
仲間の声援が無ければ、途中で負けていたかもしれない。
だが、お前だってそうだろう?仲間の介入あってこそだ。
シングルでは俺が勝った。前の試合も俺達が勝った。
次はタッグだ。それで俺達クリムゾン・クランの完全勝利だ。
俺達の真っ赤な旗を掲げる時だ。お前らの無法もこれで終わりだよ。」
「まさか今日の結果で勝ったつもりか?今日はほんの前哨戦だろ?
俺達はまだまだ試運転よ。当然全力を出せばこんなもんじゃねぇ。
俺達は至高の存在、シュプリームだ。このリングには刺激が足りねぇ。
次はタッグだと?良いだろう。至高の刺激をこのリングで見せてやる。
次は首だけじゃすまねぇぞ。顔は潰れ、嘔吐してのたうち回るんだ。
首も腰も砕け、動けなくなるお前らの姿を晒してやるぜ。」
クリムゾン・クランとシュプリームの抗争は始まったばかりである。
後日、ファントム・ヤマプロの元へ更なる大会場の用意と要求書、それを実現するための資金提供があった。
ニック・エリオットは本気で凄惨なショーを日本で展開するつもりだろう。
ここまで来たら引き下がれない。支援が無ければヤマプロは崩壊する。
どんな手を使っても大会場を人で埋め、採算を取らねばならない。
そしてニック・エリオットにとって魅力的なリングで無くてはならない。
一手誤れば、全ては幻と化してしまう。
いいや、幻を見せるのはこちらの方だ。
ファントム・ヤマプロは数手先を読み、駒を進めた。