辛うじて腕攻めを試みるものの、殆ど何もさせない試合運び。
組伏せ、押さえ込み、最後はジャーマンスープレックス一発。
貫禄の勝利ではあったが、観客からはブーイングの嵐である。
観客は新人の可愛がりではなく、奮闘を見たかったのだ。
しかし、全く動じることなく、堂々とツチグモは引き上げていく。
どんな仕事をするにも冷静に淡々とこなすことが大事なのだ。
人を育てるには甘やかさず、真摯な姿勢で全力で叩き込む。
それが心を鍛え、身体を鍛え、技を鍛えるということだ。
彼には闘争心があった。恐らくこれから伸びてくるだろう。
これが私の信じる忍の道である。立派な忍になろう。
人は忍であり、大地に還る。土に溶け込むのだ……
初の大会場の第一試合なのに、やってくれたな。
らしいと言えばらしいが……まあなんとかなるだろう。
そう思うしかない、ファントム・ヤマプロであった。