恋女房、奥ゆかしき

「よーく、分かりました!

ここはひとつ、私が一肌脱いでみせましょう!」

 

ガウル重田は自らの胸をドンと叩いてみせた。

 

熱波君、なかなかの体格に恵まれていて将来有望でしょう。

しかし、プロレスとは体格だけじゃあできません。

それを活かす技術というものが必要となるでしょうなあ。

私、器用じゃあありませんが、レスリングやってましたから。

この鍛え上げた身体でね、どっかんばっかんぶちのめしますよ。

えっ?それじゃあ技術なんていらないんじゃないかって?

あいやー!これは一本とられましたな。いやはや、さすがさすが。

いやでもね、力技って言うくらいなんでね、これにも技がある。

そこんところをね、不精ながら私が見せつけてやりますよ。

手取り足取りじゃなくてね、身体をぶつけ合って分かり合う。

この方がね、力任せの私達には合っているんですって。

ええっ、それじゃあやっぱり技なんか無いんじゃないかって?

あいたー!これまた一本とられました。我らが大将ここにあり!

私、貴殿の太刀持ちとなって、何処までもついていきましょう。

なんつってね、だははー!!!あーっと!着いていくと言えば!

昨日、信道さんと飲みに行ったんですがね……」

 

「あの……私、まだ何も言って無いんですが……」

 

ただただ呆然とするファントム・ヤマプロなのであった。

 

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