恋女房と呼ばれた男は力任せにぶつかっていった。
エースと呼ばれた男は容赦なく巨体を投げ捨てた。
技を極めし男は自分の技術に頼るしかなかった。
妖怪を演じる男は妖怪を突き通すしかなかった。
それぞれができることを全力で表現してみせる。
どの姿も正解であり、間違いなどどこにもない。
唯一正しいと言えることは、観衆が盛り上がること。
その日の観衆はどよめき、大声をあげていた。
どんなことをやってみせても自由な世界なのだ。
自由のある戦い、それがプロレスである。