「え?行徳が俺と組みたいって言ってるんですか?」
そんな話、葛西は今まで聞いたことが無かった。
ファントム・ヤマプロは続けた。
「そうなんですよ。そして、タッグで穴倉兄弟と戦いたいと。」
「うーん、まあ俺は組んであの二人をいい加減ぶっ飛ばしてやりたかったんで良いんですけどね。良いんですが……何か変ですよね?」
「まあ私も不思議に思いますね。前回、彼等は共に引き揚げていったので、すっかり共闘するんだと思ってカードを考えていたところだったんです。」
「うーん、これって……何だと思います?」
「まあ普通なら罠ですよね。三人で袋叩きにするとか。」
「まあ普通ならそうですが、行徳がそんなことしますかね?戦うなら正々堂々と一対一で、それが奴でしょう。」
「単純に練習仲間か、はたまた、もう決裂したとか?」
「うーん、そうなるかなぁ~。まあ、戦ってみればわかるか!」
「単純ですねぇ!私にはとても真似できませんよ。まあそこが貴方の良い所?」
「騙されやすいのが良い所?まあでも俺、難しいことわからんので、プロレスラーなら身体で語るでしょう。」
「では、葛西琢磨、行徳恭二と、穴倉瞬、穴倉想のタッグマッチ、決まりですね。」
ファントム・ヤマプロの仕掛けたアングルは徐々に動き出している。
四人が織りなすストーリーは、全て彼の掌で繰り広げられている。
大会場の話題作りのため、更に加速のギアを入れていくのだった。