立ちはだかる壁

「えーっ!長谷川さんとのシングルじゃないんですか?」

 

習志野奏は不服そうだ。ファントム・ヤマプロはそれをなだめる。

 

「前にも言いましたけど、彼はうちのトップです。

そう簡単には試合を組めません。でもメインですから。

しかも相手は信道進、彼だってトップのひとりです。」

 

「でも僕は長谷川さんと戦いたいからここに来たんです。

メインとかトップとか関係無いんですけどねー。

とりあえず評価してくれてるのは分かりました。

でも、大丈夫ですか?僕、多分圧勝しますよ?」

 

「それはないでしょう。彼とは長い付き合いですからね。

若手の壁として彼ほどの適任者はいません。

貴方のような選手にこそ厳しい攻めを見せるでしょう。

前回の対戦を基準にしているのなら痛い目に合うでしょうね。」

 

「ふーん。まああれが全力じゃないのは僕も一緒ですけどね。

ベテランなんて僕の前では意味無いですよ。大体想像つくし。

何か分からないけど、大体分かる。あとあの人知らないし。

力も体格も凄かった。でも、思いっきりが悪いですね。

多分何かに遠慮してる。休火山ってところじゃないですか?」

 

「……本当に凄いです。そういうことが感覚で分かるんですね。

貴方のその力を見込んでこのカードを組んだ甲斐があります。

この戦い次第で貴方の今後のカードが、方向性が決まります。

信道は長谷川のライバルでした。かつては格上だったんです。

彼にはもうひと花咲かせて欲しい。彼の今後にも関わります。

お互いに意味のある戦いになるでしょう。メインに相応しい。」

 

「まあ良いですよ。あんまりよく分からないけれど。

僕は憧れの長谷川さんと競い合うためにここに来たんです。

他はどうでも良いかな?あっ、もちろんチームでも活躍したい!

とにかく観客の前で結果出したら、逃げられませんからね。」

 

「フフフ……楽しみにしていますよ。」

 

若くして驚異の吸収力とずば抜けた身体能力を持つ習志野奏。

立ちはだかる古豪に対してどのような戦いを繰り広げるのか?

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