ファントム・ヤマプロは、マッチメイク権を持っているニック・エリオットと電話にて交渉中である。
ニック「さて。セミファイナルなんだが、丁度良いタッグチームがいるんだ。彼らの試合を組んでくれないか?大型の二人だし、客受けも良いと思うぜ。」
ファントム「大丈夫なんですか?その二人。盛り上げるのが上手いだけじゃ、日本受けは良くないですよ?」
ニック「ハハハ!そんな心配はいらないぜ。俺が自信を持って紹介するんだ。ティム・マーティンとブルーノ・ベローズ、俺と行動を共にする信頼のおける選手さ。きっと気に入るよ。」
ファントム「まあ、貴方がそこまで言うなら実力には問題無いのでしょう。分かりました。」
ニック「よし、そうと決まったら対戦相手を用意してくれ。この前戦った信道はメインだから、他は誰だって構わないぜ。」
ファントム「そうですねぇ。こちらはまだまだ所属選手が少ないので……1人はこの前対戦したノーマン・オブスキュラにしましょう。若いですがテクニックはある。」
ニック「ああ、いいぜ。アイツは確かに良いテクニックを持っていた。この前、俺が叩き潰してやったがな。」
ファントム「もう1人は、ガウル重田にしましょう。彼は長年、信道のタッグパートナーを務めていて、先日ヤマプロに所属してもらいました。目立つ選手ではありませんが、侮れないパワーの持ち主です。ベテランですので、良い仕事をしてくれるでしょう。」
ファントム「お前が言うんだ。そうなんだろうな。そうか、信道のね……良いじゃないか。それでいこう!」
幾つかの確認事項を確かめた後、ファントムは電話を切った。
あまりにスムーズなマッチメイクに不安になった。何か見落としてることは無いだろうか?今回の対戦相手、ティムとブルーノ。そういえば聞き覚えがある名前だ。
確か、アメリカ各地をサーキットしてはタイトル参戦に顔を出すタッグチームとして聞いたことがあった。実力はもちろんだが、対戦相手をかなり痛めつける事でも有名である。もしや、同一人物なのだろうか?
場合によってはシュートを仕掛けてくる可能性もある。二人には念のため話しておいた方が良いだろう。分かってさえいれば二人なら対応はできるだろう。しかし、それでも実力差は大きいかもしれない。
彼らを呼び寄せた狙いは何なのか。暫く考え込んだ後、改めて携帯電話に手をかけるファントム・ヤマプロであった。