8人が入り乱れ、フルタイム引き分けと思われた激闘。
最後はブルーノ・ベローズのダエリアが決まり、マッチー一角が沈んだ。
パウロ・マルティネスとティム・マーティンを掻き分け、ヤッチー河馬がマッチーに駆け寄りて介抱を始める。
再契約したシュプリームが復活の狼煙を上げる形となった。
熱波猛は大の字になっている。
これがトップ同士の戦いなのかと痛感している事だろう。
しばらくは起き上がれそうになさそうだ。
印西が寄り添い、親指を立てて見せる。
予想された通り、客席からはブーイングの嵐である。
追放とは何だったのか?団体への不信感を募らせる結末。
それを察したのか、ファントム・ヤマプロがリングに現れた。
「皆さん、すいません。どうか理解して欲しい。
彼らは確かに追放しました。しかし、また戻ってきたのです。
納得は行かないかもしれません。ですが、今日の勝利は本物です。
幻ではないのです。ならば、認めざるを得ない。彼らは強い。
強いのなら、強い相手と熱い戦いを魅せる。それがヤマプロです!
観ましたか?今日の彼ら、厳しい攻撃でしたが、悪さはしていない。
本物なら、本物とぶつかって、ブーイングを歓声に、変えてみせる!
そんな戦いを、ヤマプロの戦いを、次、組んでみせますよ。
皆さんの不信感、幻の彼方へと誘ってみせましょう。
さあ、ニック!どうですか?次も私に任せてみなさい。
ヤマプロでの戦い、楽しくなっているんでしょう?
私には分かっています。貴方は断れないはずです。」
ニック・エリオットはリングを引き揚げながらも、ヤマプロを指差している。
アスリート魂を擽られている自身の変化に驚きながらも、そんなヤマプロの戦いをビジネスとして成長させることを考えていた。
ニックが活きる場所も、今やヤマプロにしかないのだ。