ストーリー

Phantom.6 メインイベント 信道 進 vs 長谷川 修二

youtu.be 自分のペースに持ち込んでいたつもりだった。 あの粘りは何だ?いや、粘りというか、受け切られたのか。 そこからの巻き返し、あそこからが本気だったのか。 俺はあの畳み掛けに耐えることができなかった。 今日の信道さんに遠慮は無かった。全力の…

壁は崩れ落ちた

習志野奏に叩きのめされた。 これが若い力なのか、勢いには勝てないのか。 若手の壁、という自分の役目は終わったのか。 このまま自分の価値は下がり、落ちていくだけなのか。 若手の壁ではなく、踏み台になるしかないのか。 学生の頃から怪物と呼ばれてきた…

Phantom.6 セミファイナル D.O.P.E vs ラーク・カンパニー

youtu.be 習志野奏は最後までエンジンがかからない。 24-my-showの技でも止まらなかった。 内城信敏は完全に打ちのめされている。 2mを越える巨人、CPOに力一杯叩き付けられたのだ。 ダメージが深刻なのは必然であった。デカいに説明はいらない。 ジョン・マ…

ウイスキーの味わいは奥深いものだ

私はウイスキーが苦手である。 私の好きな日本酒とはまた違った、焼け付くような感覚。 酔いの回り方も早く、風味がまた吐き気を誘ってる気がする。 海外を回っている間でも、全く馴染めなかったこの味わい。 しかし、今日の私はもてなす側であるので我慢す…

Phantom.6 第六試合 穴倉 想 vs 行徳 恭二

youtu.be 俺は今を生きる。 過去には縛られない。 熱い戦いを求めてるんだ。 あの人の戦法には付き合わない。 バックを取ったら何も考えず、力一杯投げた。 狙える時は迷わず腕を取って、逆に極めた。 あの人は悲鳴を上げた。 ついてこれないなら置いていく…

幻想

完璧だった。 道場での技の確認、段取り、身体作り。そしてコミュニケーション。 試合での演出、迫真の闘争、ドラマ、全て調和がとれていた。 この調和は、スタッフや選手達との信頼関係が第一だ。 ちゃんこも作ったし、一人一人とよく会話するよう務めた。 …

Phantom.6 第五試合 穴倉 瞬 vs 葛西 琢磨

youtu.be 腕をこれでもかというくらい痛め付けられ、タイガースープレックスでカウント2.9まで追い詰められた。 もう一発は食らわない。意地で切り返してからは巻き返しを図る。 一気に攻め立ててからの、タイガースープレックス! ……ワン!……ツー!……スリー…

汚してやる

穴倉瞬は入念にテーピングを行っている。 大怪我を未然に防ぐことには気を使っている。 事故が起きては自身の評価に多大なる影響が出てしまう。 最初は順調だった。道場では誰よりも早く技を習得した。 格闘プロレス団体「バベル」将来のエースと言われた。 …

Phantom.6 第四試合 クリムゾンクラン & 熱波 猛 vs シュプリーム

youtu.be 8人が入り乱れ、フルタイム引き分けと思われた激闘。 最後はブルーノ・ベローズのダエリアが決まり、マッチー一角が沈んだ。 パウロ・マルティネスとティム・マーティンを掻き分け、ヤッチー河馬がマッチーに駆け寄りて介抱を始める。 再契約したシ…

熱、高まる

ヤッチー河馬の顔は真っ赤に紅潮している。 「こんなこと……誰が納得すると思ってんだ?」 「仕方無かったのです。シュプリームは……今回もリングに上がります。」 ファントム・ヤマプロは弱々しい声で答える。 「ニックはね、今やヤマプロの共同出資者なので…

Phantom.6 第三試合 グレート・白斗桃 & ひばり vs ジュエリー・キンバリー & レベッカ・トンプソ

youtu.be グレート・白斗桃とひばりは、スピーディーなタッチワークで外国人コンビの攻略を試みる。 しかし、キンバリーとレベッカもアメリカでタッグを組んでいた経験がある。決して急造タッグなどではない。 ダイビングショルダーアタックとジャーマンスー…

ライバルにして親友

合同練習を終え、グレート・白斗桃はめいいっぱいかいた汗を拭いていた。 「やっぱり体操選手って凄いね!私にはあんな動き、とてもできないよ!」 そう言われ、ひばりは少し誇らしげである。 「ま、まあね!正直私は大した選手じゃなかったけど、クラブから…

Phantom.6 第二試合 ソドム & ゴモラ vs ファントム・ヤマプロ & ツチグモ

youtu.be ファントム・ヤマプロは怪しげな立ち回りで翻弄し、ツチグモは次々と危険な技を仕掛けていく。 それらを受け止めつつも、躍動感のある激しい攻撃で相手を追い詰めていくソドムとゴモラ。 ゴモラが跳躍力抜群のダイビングヘッドバットを決めれば、ツ…

ソドムとゴモラ

不自然な肉の欲に溺れた罰として、神より永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされた者達。 彼らはヨルダンよりやってきた。正しき者まで残さず滅ぼされた恨みを晴らすため。 彼らは神を、神を信じる者達を根絶やしにするため、破壊の限りを尽くす滅びの象徴で…

Phantom.6 第一試合 越冬 燕一郎 vs レイ・トルメンタJr.

youtu.be 越冬は果敢に攻めた。できる限りの事を尽くした。 しかし、どうしてもトルメンタJr.のトリッキーな動きについていけない。 才能の差か?もって生まれたものが違うのか? 全力で戦っているつもりが、一挙手一投足に疑問が生まれる。 気付いたら受け…

俺と何が違うんですかね

「次はトルメンタJr.が相手です。最新のルチャ・リブレを体感できるなんて、ワクワクするでしょう?」 ファントム・ヤマプロの声は明るい。 しかし、越冬燕一郎の声は暗かった。 「俺は、彼の引き立て役ですか?」 「いやいや、貴方が経験を積むための試合で…

Phantom.5 メインイベント 習志野 奏 vs 信道 進

youtu.be 信道必殺のバックドロップを何度食らっても立ち上がる奏。 最後はジャーマンスープレックス一発で勝利をもぎ取った。 首に氷嚢をあてがいながら、リングを去っていく信道。 奏はマイクを取り、意気揚々と会場へと声をあげた。 「本日は皆さん、ご来…

立ちはだかる壁

「えーっ!長谷川さんとのシングルじゃないんですか?」 習志野奏は不服そうだ。ファントム・ヤマプロはそれをなだめる。 「前にも言いましたけど、彼はうちのトップです。 そう簡単には試合を組めません。でもメインですから。 しかも相手は信道進、彼だっ…

Phantom.5 セミファイナル クリムゾン・クラン vs シュプリーム

youtu.be それぞれの今後を左右するであろう、8人が入り乱れる大混戦。 最後ラリアットで制したのはクリムゾン・クランだった。 クリムゾン・クランの面々は互いに握手を交わし合う。 シュプリームの面々は納得がいかないのかレフェリーに詰め寄る。 激しい…

結束の赤

試合前の控え室。 長谷川修二は皆の前で頭を下げた。 「みんな済まない。あの場では勝手に解散などと口走ってしまった。俺はちょっと冷静ではなかったようだ。」 ヤッチー河馬は立ち上がる。 「いや、あれで良かった!男は逃げたらいかん。この前は油断した…

Phantom.5 第五試合 ツチグモ vs ファントム・ヤマプロ

youtu.be 最後はファントム・イレイサーでツチグモをガッチリと締め上げたファントム・ヤマプロ。 勝ち名乗りを受けた後、珍しくマイクを要求している。 「見てくれましたか?これがヤマプロの原点、これが私達のレスリングです。 決して派手ではありません…

全ては幻へ

コスチュームに着替え終え、椅子に座り、シューズを履き替える。 靴紐に手をかけ、片足ずつ、一つ一つ紐を通しながら結んでいく。 先程までの自分はどこにでもいる、変哲もないただの人間だった。 そんな自分が、この儀式を通して何処かへと押し込められてい…

Phantom.5 第四試合 葛西 & トルメンタJr. & トルメンタSr. vs 行徳 & 瞬 & 想

youtu.be 最後はトルメンタ・ラナで、トルメンタJr.が穴倉想からスリーカウントを奪った。 それを間近で見ていた行徳は、しばし想を見つめていたが、やがてリングを降りてマイクを要求した。 「想さん。アンタこの様で何をやるって言うんだ? あんな戦いぶり…

バベルの塔

次の6人タッグに向けての連携を確認し終えた三人は休憩を取っていた。 「しかし、久しぶりだな。 恭二とは練習どころか顔も合わせていなかった。 あの頃は打撃とグラウンドのスパーばかりやっていたが、 今じゃすっかりプロレスラーだ。 連携の練習だなんて…

Phantom.5 第三試合 グレート・白斗 桃 vs レベッカ・トンプソン

youtu.be 「マジかよ……」 「すげぇな……」 グレート・白斗桃はピクリとも動かない。 会場は騒然となっていた。 レベッカ・トンプソンは、リングサイドのファントム・ヤマプロに怒鳴り散らしている。 「だから言ったんだ!私はちゃんと忠告したからな!」 ファ…

覚悟

「私にそんな仔猫ちゃんを当てて大丈夫なの?」 レベッカ・トンプソンは怪訝そうである。 ファントム・ヤマプロはいつもの調子だ。 「貴方のような人を求めていたのですよ。この戦いは彼女をきっと成長させるでしょうね。」 「あんたってさぁ、優しいようで…

Phantom.5 第二試合 越冬 & ノーマン vs 内城 & show

youtu.be 越冬燕一郎は技を外された後、しばらく呆然としていた。 内城信敏の攻撃には隙がない。 次々と途切れることなく技が出てくる。 反撃の機会も与えてもらえなかった。 止まらない攻撃に会場も大変な盛り上がりだ。 こういうのを機能美というのだろう…

走れ走れ 時は短い

内城信敏は何より無駄を嫌う。 柔道を習い、キックボクシングに打ち込み、プロレスに入門。 思い立ったら身近にあった。考えてる暇なんて無いんだ。 恵まれた身体を活かして生きていくのに最短を選んでいる。 デビュー間もなく所属団体が潰れても止まっては…

Phantom.5 第一試合 熱波 猛 vs ガウル重田

youtu.be ガウル重田はインタビューに答える。 「いやー、熱波君は若い若い!驚きますなぁ、あのパワー。 私も昔は凄かったもんですが、今日は度肝抜かれました。 しかし、まだまだペースというもんを分かっちゃいない。 今日みたいにね、全部受けられたら息…

恋女房、奥ゆかしき

「よーく、分かりました! ここはひとつ、私が一肌脱いでみせましょう!」 ガウル重田は自らの胸をドンと叩いてみせた。 「熱波君、なかなかの体格に恵まれていて将来有望でしょう。 しかし、プロレスとは体格だけじゃあできません。 それを活かす技術という…