ストーリー
youtu.be 自分のペースに持ち込んでいたつもりだった。 あの粘りは何だ?いや、粘りというか、受け切られたのか。 そこからの巻き返し、あそこからが本気だったのか。 俺はあの畳み掛けに耐えることができなかった。 今日の信道さんに遠慮は無かった。全力の…
習志野奏に叩きのめされた。 これが若い力なのか、勢いには勝てないのか。 若手の壁、という自分の役目は終わったのか。 このまま自分の価値は下がり、落ちていくだけなのか。 若手の壁ではなく、踏み台になるしかないのか。 学生の頃から怪物と呼ばれてきた…
youtu.be 習志野奏は最後までエンジンがかからない。 24-my-showの技でも止まらなかった。 内城信敏は完全に打ちのめされている。 2mを越える巨人、CPOに力一杯叩き付けられたのだ。 ダメージが深刻なのは必然であった。デカいに説明はいらない。 ジョン・マ…
私はウイスキーが苦手である。 私の好きな日本酒とはまた違った、焼け付くような感覚。 酔いの回り方も早く、風味がまた吐き気を誘ってる気がする。 海外を回っている間でも、全く馴染めなかったこの味わい。 しかし、今日の私はもてなす側であるので我慢す…
youtu.be 俺は今を生きる。 過去には縛られない。 熱い戦いを求めてるんだ。 あの人の戦法には付き合わない。 バックを取ったら何も考えず、力一杯投げた。 狙える時は迷わず腕を取って、逆に極めた。 あの人は悲鳴を上げた。 ついてこれないなら置いていく…
完璧だった。 道場での技の確認、段取り、身体作り。そしてコミュニケーション。 試合での演出、迫真の闘争、ドラマ、全て調和がとれていた。 この調和は、スタッフや選手達との信頼関係が第一だ。 ちゃんこも作ったし、一人一人とよく会話するよう務めた。 …
youtu.be 腕をこれでもかというくらい痛め付けられ、タイガースープレックスでカウント2.9まで追い詰められた。 もう一発は食らわない。意地で切り返してからは巻き返しを図る。 一気に攻め立ててからの、タイガースープレックス! ……ワン!……ツー!……スリー…
穴倉瞬は入念にテーピングを行っている。 大怪我を未然に防ぐことには気を使っている。 事故が起きては自身の評価に多大なる影響が出てしまう。 最初は順調だった。道場では誰よりも早く技を習得した。 格闘プロレス団体「バベル」将来のエースと言われた。 …
youtu.be 8人が入り乱れ、フルタイム引き分けと思われた激闘。 最後はブルーノ・ベローズのダエリアが決まり、マッチー一角が沈んだ。 パウロ・マルティネスとティム・マーティンを掻き分け、ヤッチー河馬がマッチーに駆け寄りて介抱を始める。 再契約したシ…
ヤッチー河馬の顔は真っ赤に紅潮している。 「こんなこと……誰が納得すると思ってんだ?」 「仕方無かったのです。シュプリームは……今回もリングに上がります。」 ファントム・ヤマプロは弱々しい声で答える。 「ニックはね、今やヤマプロの共同出資者なので…
youtu.be グレート・白斗桃とひばりは、スピーディーなタッチワークで外国人コンビの攻略を試みる。 しかし、キンバリーとレベッカもアメリカでタッグを組んでいた経験がある。決して急造タッグなどではない。 ダイビングショルダーアタックとジャーマンスー…
合同練習を終え、グレート・白斗桃はめいいっぱいかいた汗を拭いていた。 「やっぱり体操選手って凄いね!私にはあんな動き、とてもできないよ!」 そう言われ、ひばりは少し誇らしげである。 「ま、まあね!正直私は大した選手じゃなかったけど、クラブから…
youtu.be ファントム・ヤマプロは怪しげな立ち回りで翻弄し、ツチグモは次々と危険な技を仕掛けていく。 それらを受け止めつつも、躍動感のある激しい攻撃で相手を追い詰めていくソドムとゴモラ。 ゴモラが跳躍力抜群のダイビングヘッドバットを決めれば、ツ…
不自然な肉の欲に溺れた罰として、神より永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされた者達。 彼らはヨルダンよりやってきた。正しき者まで残さず滅ぼされた恨みを晴らすため。 彼らは神を、神を信じる者達を根絶やしにするため、破壊の限りを尽くす滅びの象徴で…
youtu.be 越冬は果敢に攻めた。できる限りの事を尽くした。 しかし、どうしてもトルメンタJr.のトリッキーな動きについていけない。 才能の差か?もって生まれたものが違うのか? 全力で戦っているつもりが、一挙手一投足に疑問が生まれる。 気付いたら受け…
「次はトルメンタJr.が相手です。最新のルチャ・リブレを体感できるなんて、ワクワクするでしょう?」 ファントム・ヤマプロの声は明るい。 しかし、越冬燕一郎の声は暗かった。 「俺は、彼の引き立て役ですか?」 「いやいや、貴方が経験を積むための試合で…
youtu.be 信道必殺のバックドロップを何度食らっても立ち上がる奏。 最後はジャーマンスープレックス一発で勝利をもぎ取った。 首に氷嚢をあてがいながら、リングを去っていく信道。 奏はマイクを取り、意気揚々と会場へと声をあげた。 「本日は皆さん、ご来…
「えーっ!長谷川さんとのシングルじゃないんですか?」 習志野奏は不服そうだ。ファントム・ヤマプロはそれをなだめる。 「前にも言いましたけど、彼はうちのトップです。 そう簡単には試合を組めません。でもメインですから。 しかも相手は信道進、彼だっ…
youtu.be それぞれの今後を左右するであろう、8人が入り乱れる大混戦。 最後ラリアットで制したのはクリムゾン・クランだった。 クリムゾン・クランの面々は互いに握手を交わし合う。 シュプリームの面々は納得がいかないのかレフェリーに詰め寄る。 激しい…
試合前の控え室。 長谷川修二は皆の前で頭を下げた。 「みんな済まない。あの場では勝手に解散などと口走ってしまった。俺はちょっと冷静ではなかったようだ。」 ヤッチー河馬は立ち上がる。 「いや、あれで良かった!男は逃げたらいかん。この前は油断した…
youtu.be 最後はファントム・イレイサーでツチグモをガッチリと締め上げたファントム・ヤマプロ。 勝ち名乗りを受けた後、珍しくマイクを要求している。 「見てくれましたか?これがヤマプロの原点、これが私達のレスリングです。 決して派手ではありません…
コスチュームに着替え終え、椅子に座り、シューズを履き替える。 靴紐に手をかけ、片足ずつ、一つ一つ紐を通しながら結んでいく。 先程までの自分はどこにでもいる、変哲もないただの人間だった。 そんな自分が、この儀式を通して何処かへと押し込められてい…
youtu.be 最後はトルメンタ・ラナで、トルメンタJr.が穴倉想からスリーカウントを奪った。 それを間近で見ていた行徳は、しばし想を見つめていたが、やがてリングを降りてマイクを要求した。 「想さん。アンタこの様で何をやるって言うんだ? あんな戦いぶり…
次の6人タッグに向けての連携を確認し終えた三人は休憩を取っていた。 「しかし、久しぶりだな。 恭二とは練習どころか顔も合わせていなかった。 あの頃は打撃とグラウンドのスパーばかりやっていたが、 今じゃすっかりプロレスラーだ。 連携の練習だなんて…
youtu.be 「マジかよ……」 「すげぇな……」 グレート・白斗桃はピクリとも動かない。 会場は騒然となっていた。 レベッカ・トンプソンは、リングサイドのファントム・ヤマプロに怒鳴り散らしている。 「だから言ったんだ!私はちゃんと忠告したからな!」 ファ…
「私にそんな仔猫ちゃんを当てて大丈夫なの?」 レベッカ・トンプソンは怪訝そうである。 ファントム・ヤマプロはいつもの調子だ。 「貴方のような人を求めていたのですよ。この戦いは彼女をきっと成長させるでしょうね。」 「あんたってさぁ、優しいようで…
youtu.be 越冬燕一郎は技を外された後、しばらく呆然としていた。 内城信敏の攻撃には隙がない。 次々と途切れることなく技が出てくる。 反撃の機会も与えてもらえなかった。 止まらない攻撃に会場も大変な盛り上がりだ。 こういうのを機能美というのだろう…
内城信敏は何より無駄を嫌う。 柔道を習い、キックボクシングに打ち込み、プロレスに入門。 思い立ったら身近にあった。考えてる暇なんて無いんだ。 恵まれた身体を活かして生きていくのに最短を選んでいる。 デビュー間もなく所属団体が潰れても止まっては…
youtu.be ガウル重田はインタビューに答える。 「いやー、熱波君は若い若い!驚きますなぁ、あのパワー。 私も昔は凄かったもんですが、今日は度肝抜かれました。 しかし、まだまだペースというもんを分かっちゃいない。 今日みたいにね、全部受けられたら息…
「よーく、分かりました! ここはひとつ、私が一肌脱いでみせましょう!」 ガウル重田は自らの胸をドンと叩いてみせた。 「熱波君、なかなかの体格に恵まれていて将来有望でしょう。 しかし、プロレスとは体格だけじゃあできません。 それを活かす技術という…